どれもすごく面白かった.特に大学生など若い人にオススメしたい,軽めだけれど(つまり読みやすく)内容は充実している3冊.

「ひとりでは生きられないのも芸のうち」内田樹
内田先生のブログが元になっているのでいくつかの内容は記憶にあるものだったが,全体として,なんとも説得力のある論考だ.まっとうな大人がまっとなことを言ってくれる.爽快.
『私たちの社会のさまざまなシステムを機能不全に陥らせているのは,この「ちゃんと仕事をしてくれる人がどこかにいるはずだ」という無根な楽観です.』
『誰かがなんとかしてくれる』っていう楽観は,確かに自分のなかにもあって,「ゴーンさんみたいなカリスマ性のある誰か偉い人(うちで言うと,学長とか)が,この事態をどうにかしようと指揮してくれるだろうから,自分はそれに従ってればいいんじゃないの?」と思っていたことを自覚させられてしまった.
でも近ごろは,「変えたかったら自分で動くべきなんだね.そのほうが楽しいし」という認識に変化してきたところだったから,「あんたのそれ,OKよ」と言ってもらえたようで,なんだか嬉しい.

「ウチのシステムはなぜ使えない-SEとユーザの失敗学」岡嶋裕史
情報システムの顧客あるいはユーザ向けに書かれているが,これからSEになろうっていう人にとっても非常に有益であろう情報が盛りだくさん.
要は,ユーザとSEの関係において,コミュニケーションと,お互いをわかりあおうとする努力と,主張すべきところは主張する勇気が大切っていう極めてまっとうなことが書かれている.
しかし,その書きっぷりがいい.ちょっと自虐的にさえ感じるような表現で,見えづらい実態を記述していく.あまりにあっけらかんと書かれているので,余計にその深刻さが伝わってくる.
特に第三部の「SEとユーザの胸のうち」は,飛行機が函館空港に着陸しても読むのを止められなかったくらいスリリング.
同世代男性にありがちなガンダムネタもちらほら(笑).
「脳を活かす勉強法-奇跡の「強化学習」」茂木健一郎
1時間で読める軽さだが,とにかくわかりやすくて,やる気にさせる.
まずは,本の作りがうまい.自分の体験を中心とする文章のなか,要所要所に「脳機能」の説明を入れてくる.そして各節の最後には「ポイント集」.一般向けってこうでなくちゃねと,大変勉強になった.
新しい知見を紹介している訳ではないし,茂木さんの本は内容がかぶってることも多いのだが,そんなことはどうでもよくなってしまうくらい,前向きになる.
たぶんその理由は,「勉強しろ」ではなく「(脳の仕組みを知って)気持ちよくなれ」ってことを伝えているのと,その「気持ちよさ」について,「あぁ,あれだ!」ってな具合に自分の体験にもとづいて納得することができるから.
ちなみに...今回は3冊連続の良書だったが,打率はそれほどよくない.駄作も引いているけど,紹介してないだけです.